真鯛の色に対する反応性
鯛ラバのスカートやネクタイの色を決めるにあたって、鯛は何色に反応するのかということを頭に入れておいた方が良いので、記事にしておきます。
※ 難しい事がわからない方は下の方の結論だけ読んでください
真鯛の色に対する反応性
という論文を書いている人がいたので読んでみました。
1978年の論文ですから、ボクはまだ生まれてすらいません(1987年生まれです)。
簡単に要約する形でまとめます。
あくまで、色に対する反応性だけの記事です!!!
https://www.jstage.jst.go.jp/article/suisan1932/45/1/45_1_1/_pdf
【前置き】
まず冒頭に餌の話
1970年ごろまでの科学では、魚にとって良い餌はニオイで決まる とされていた。
でも、同時に別の研究が進んでいて、「どうやら魚は色がわかるらしい」ということが証明されたようです(細かく言えば色の波長)。水族館の大きい水槽は色で学習させて回遊ルートを決めているそうです。
魚は色がわかる!ということで、これまで魚の食欲誘発は ニオイ とされていたけど 色 でも食欲が誘発されるんじゃないか? という仮説のもとで研究実験してみたそうです。
【実験】
※ 吸収極大の時の補色=肉眼で見える色
nm = ナノメーター(色の波長)
予備実験結果
コマセアミの色素を取り出したら 460nm(色でいうと黄色と橙色の間)
本実験
予備実験結果から、極大吸収スペクトルが 400〜650nm(400 黄橙赤紫緑青 650)くらいの範囲の色をデンプンに着色して、真鯛がどういう興味を示すか実験。評価指標は以下の2通り。
・誘引活性 = 魚は誘引され餌に触れるが、明確な摂餌行動は見られない(興味をもつが食べない)。
・摂餌刺激活性 = 魚は誘引され、続いて明らかなついばみ行動が見られる(興味をもって食べる)
【結果】
論文では「マダイは430~500nmに極大吸収をもつ色素に誘引され、500nm以上では徐々にその活性は低下し、600nm以上では全くなくなることがわかる。」とあるんですが、波長を色に変換するのは難しいので、言い換えます。
黄色(428nm)、橙色(492nm)、赤色(508nm) にはかなり強い誘引活性がみられた
緑色(618nm)、青色(630nm)、紫色(548nm) には誘引性はみられなかった
青色 の餌は忌避行動が観察されて、色を1/2に薄めたけど、結果は変わらなかった
緑系の蛍光色 の餌には誘引されるが、緑色の餌には反応しなかった
混合色も試したけど、強い誘引活性が見られたのは黄色、橙色、赤色 がベースの混合色であった
まとめると 「マダイは430~500nmに極大吸収をもつ色素に誘引される」
【要約すると】
1.マダイの色に対する反応性をスルメイカ内臓、コマセアミ色素および各種合成色素を用いて調べた。
2.マダイは黄色系、橙色系、赤色系および、これら色素系を含む混合色素系に対し反応性を示した。また螢光にも反応した。
3.活性をもつ色素群の吸収スペクトルは430~ 500nmに極大吸収をもっていた。
4.スルメイカ内臓 およびコマセアミ色素では誘引、摂餌刺激の両活性を示し、合成色素群(デンプンに着色しただけ)では誘引性のみであつた。
【自分なりの感想】
鯛ラバの色に赤、橙、黄が多いのは、ちゃんとした根拠があったんですね。
タイラバ製品に青がない理由がわかりました。青は嫌うんですねー。
この論文からすると、紫っぽい赤はダメっぽいですねー。ダメと言っても、色だけの話しなので、ニオイ付きだったり、動きだったりで結果は違ってくると思います。
緑でも釣ったことはありますが、色の恩恵はあんまりなかったんですかね。
少し明るい黄緑だと効果は違ってくるかも。
あと、螢光はちゃんと効果があることがわったので、どんどん使っていこうと思います。